【読書】 数学的にありえない  ★★★☆☆

ポーカーで1万1千ドル大敗し、マフィアに追われる天才数学者ケイン。だがその時、彼を悩ませていた神経失調が、驚異の「能力」に変わった。それを狙う政府の秘密機関と女スパイ。彼らが権力を駆使して追う「能力」とは?執拗な追手にケインはどう立ち向かうのか?幾つもの物語が絡み合う超絶ノンストップ・サスペンス。

うーん、面白いことは面白いが、そこまでほめる作品か?というのが正直な感想。物語の骨子を成す「ラプラスの魔」の発想は、ミステリーや冒険小説では新鮮かもしれないがSF小説としてみるとかなり使い古されたアイデアであり、その代表作がイーガンが書いた「宇宙消失」である。量子力学論などかなり端折った説明になっているのはご愛嬌だとしても、最後の落ちについても疑問が残るところもあり、いま1つすっきりしない。

ただ数学者ラプラスの話や天体の観測データから予測軌道を導き出した考え方などの話は読んでいて面白かった。上巻に比べて下巻からは、話がスピードアップして怒涛のアクションシーンと物語の収斂が矢継ぎ早に起こるのでついていくので必死になるが、終わってみればすべてのピースがはまる快感は味わえる。

どちらにしてもどっちつかずになっているのが惜しいノンジャンル小説。

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